サンフレッチェ広島とは?

サンフレッチェ広島は、広島県広島市をホームタウンとするJリーグ加盟のプロサッカークラブです。長い歴史と伝統を持ち、国内タイトル獲得や革新的な戦術でJリーグに数々の足跡を残してきました。地域に根ざした活動を通じて、広島の誇りとして多くのファン・サポーターに愛されています。

クラブの歴史とルーツ

サンフレッチェ広島のルーツは、1938年に創設された「東洋工業蹴球部」に遡ります。戦前から実業団サッカーの名門として知られ、全日本実業団サッカー選手権大会や天皇杯で輝かしい成績を収めてきました。

東洋工業蹴球部からマツダSCへ

東洋工業蹴球部は、日本サッカーリーグ(JSL)創設期から強豪として君臨し、初代王者となるなど数多くのタイトルを獲得しました。当時の日本代表選手も多数輩出し、日本サッカー界の発展に大きく貢献しています。1981年には「マツダスポーツクラブ・サッカー部(マツダSC)」と改称し、プロ化への道を模索し始めました。

Jリーグ創設とサンフレッチェ広島の誕生

1993年のJリーグ開幕に向けて、マツダSCを母体として設立されたのが「サンフレッチェ広島」です。日本サッカー界のプロ化の波に乗り、クラブは新たなスタートを切りました。広島に根ざしたプロクラブとして、地域に活力を与える存在となることが期待されました。

栄光の時代と主要タイトル

Jリーグ開幕当初から攻撃的なサッカーで注目を集めたサンフレッチェ広島ですが、特に2010年代にはクラブの黄金期を迎え、数々のタイトルを獲得しました。

森保監督時代の黄金期(J1リーグ優勝3回)

2012年に森保一監督が就任すると、チームは独特の戦術と哲学を確立し、J1リーグを席巻します。堅守速攻と緻密なパスワークを融合させた「広島スタイル」は、多くの対戦相手を苦しめました。

その他の国内タイトルと国際大会

J1リーグ優勝以外にも、サンフレッチェ広島は国内のカップ戦や国際大会でも存在感を示しています。

プレースタイルと哲学

サンフレッチェ広島は、常に独自のプレースタイルと哲学を持ち、それをチームに浸透させてきました。特に森保監督時代に確立された戦術は、「広島スタイル」としてJリーグに大きな影響を与えています。

独自の「広島スタイル」

森保監督が就任後、チームは3バックシステムを導入し、この戦術をチームの核としました。多くのクラブが4バックを採用する中で、広島の3バックはJリーグに新たな潮流を生み出しました。

育成組織と若手選手の登用

サンフレッチェ広島は、育成組織からの選手育成にも力を入れています。ユース世代からトップチームで活躍する選手を輩出し、クラブの将来を担う人材を育成することが重視されています。浅野拓磨選手、川辺駿選手など、アカデミー出身で日本代表にまで上り詰めた選手も少なくありません。若手選手を積極的にトップチームに登用し、経験を積ませることで、チームの継続的な強化を図っています。

新スタジアム「エディオンピースウイング広島」

長年の悲願であった新サッカースタジアム「エディオンピースウイング広島」が、2024年2月についに開業しました。これは、クラブとファン・サポーター、そして広島の街にとって歴史的な出来事です。

長年の悲願が実現

旧広島市民球場跡地へのスタジアム建設は、クラブ創設以来の長年の夢でした。多くの市民や行政、企業が一体となり、議論と検討を重ねた結果、ついにその実現に至りました。市街地中心部に位置するスタジアムは、試合日だけでなく日常的に賑わいを創出する、まちの新たな顔として期待されています。

スタジアムの概要と特徴

エディオンピースウイング広島は、約28,500人収容の全天候型スタジアムです。最新の設備を備え、観客が一体感を持って試合を楽しめる設計となっています。特に、ピッチと観客席の距離が非常に近く、選手たちのプレーを間近で体感できる臨場感が特徴です。屋根が全周を覆うことで、天候に左右されずに快適に観戦できます。また、飲食店舗やグッズショップも充実しており、サッカー観戦以外の楽しみも提供しています。

地域との共生と平和へのメッセージ

スタジアムの名称にある「ピース(Peace)」は、平和記念公園に隣接する立地と、平和への願いが込められています。スタジアムはサッカーの試合だけでなく、様々なイベントや地域交流の場としても活用され、広島のまちづくりと平和のメッセージを発信する拠点となることを目指しています。サッカーを通じて、平和の尊さを世界に伝えていく、サンフレッチェ広島ならではの取り組みです。

地域貢献活動とファン・サポーターとの絆

サンフレッチェ広島は、プロサッカークラブとしてサッカーの普及活動だけでなく、ホームタウン広島の発展に寄与するための様々な地域貢献活動を展開しています。ファン・サポーターとの強い絆もクラブの大きな特徴です。

ホームタウン活動

クラブは、広島県全域をホームタウンとし、サッカー教室の開催、地域イベントへの参加、小学校訪問など、多岐にわたる活動を行っています。子どもたちにサッカーの楽しさを伝えることで、未来のサッカー選手やファンを育成するとともに、地域住民との交流を深め、クラブをより身近な存在として感じてもらうことを目指しています。また、社会福祉施設への訪問や献血活動への協力など、地域社会への貢献にも積極的に取り組んでいます。

ファン・サポーター文化

サンフレッチェ広島には、情熱的で忠実なファン・サポーターが数多く存在します。彼らは、どんな時でもチームを力強く応援し、試合会場では紫色のユニフォームでスタンドを埋め尽くします。チャント(応援歌)やコレオグラフィー(旗や紙を使いスタンド全体で絵や文字を表現する応援)など、独自の応援スタイルも確立されており、ホームゲームでは圧倒的な雰囲気を創り出しています。サポーターはクラブにとって、ピッチ上の12番目の選手ともいえる重要な存在です。

クラブの未来と展望

サンフレッチェ広島は、新スタジアムを拠点に、さらなるクラブの成長と発展を目指しています。Jリーグでの継続的な優勝争いへの挑戦はもちろんのこと、アジアでの存在感を高め、AFCチャンピオンズリーグでのタイトル獲得も視野に入れています。また、育成組織の強化を通じて、常に世界に通用する選手を輩出し続けること、そして、サッカーを通じて地域社会に貢献し続けることが、クラブの未来への大きな展望となっています。サンフレッチェ広島は、これからも広島の誇りとして、挑戦を続けていきます。